2007年現在、世界遺産条約には851件もの世界遺産が登録されていますが、実はその多くが欧米諸国の文化遺産です。
その要因はいくつか考えられますが、発展途上国にとって、
・保護や管理体制を整えるのは、資金面や治安維持の点から簡単ではないこと
・ヨーロッパの石の文化のように、文明を形にして残すという発想があまりなかったこと
などから、歴史ある文化遺産に該当するものがもともと少ないことなどがあげられます。
大地とともに生きる文化にとって、大切なのはこの大地であり、太陽であり、雨であり、他の生き物であって、人間が造る建築物などではありませんでした。それは祈りや祭礼、慣習などの形で残され、主に口承によって伝えられてきました。
だから、常に自然と戦ってきた西アジアの砂漠発の文明とは、根本的に発想が異なるのでしょう。
世界には様々な人がいて、いろいろな考え方があります。もしこの世界に考え方や価値観がひとつしかなかったら、人間は心を持つこともなく、ただの反射機械でよかっただろう。そのような意味で、無形遺産を保護することは、人間を守ることにもつながるとても大きな意義を持つと考えられます。
無形遺産条約は先進国以外の国の、自分たちの文化を守るという意味で、アフリカをはじめとする支持が非常に強く、現にこれまで3回発表されてきた傑作の宣言にも途上国の無形遺産が数多く並んでいるのです。今後無形遺産条約は、彼らにとって世界遺産以上に重要な意味を持つことになりそうです。
