ガリヴァー旅行記スウィフト
岩波書店 刊
発売日 1980-01
架空の国から人間社会を逆照射 2009-01-06
言わずとしれた史上最高の諷刺文学。子供向けの抄訳では小人国と巨人国の2篇のみが収録されることが多いが(しかも隠喩部分の多くは省略され、単なるファンタジーになっている)、本書の真骨頂は後半、特に第4篇のフウイヌム国(馬の国)にある。
野蛮で貪欲なヤフーこそが「文明」という虚飾を取り払った人間の真の姿であるというスウィフトのブラックジョークは辛辣に過ぎる。当時のイギリス社会に対する批判を突き抜けて、人間そのものに対する余りにも痛烈な批判へと到達しているところに凄味を感じる。
医師レミュエル・ガリヴァーの実録(体験記)という形式を取ったのも巧妙で、本書に一層の深みをもたらしている。ガリヴァーは一見すると冷静かつ客観的な観察者であり、来訪国の奇妙さをしばしば笑うのだが、その実、典型的イギリス人たるガリヴァー自身も諷刺の対象となっている。たとえばガリヴァーがブロブディンナグ国の王に火薬の威力を得々と語るシーンはその最たる例と言えよう。
また馬と人間の関係が逆転しているフウイヌム国では、ガリヴァーはフウイヌムに理想を見出すが、現実にはフウイヌムもまた高慢で閉鎖的な差別主義者である。その辺りのことが見えていないところにガリヴァーの限界がある。この卓抜な構造を通じて、スウィフトは人間社会こそが最も奇妙で最も愚妹で最も醜悪であることを示唆しているのである。
今のように世の中の進み方が早いときに「知らなかった」ではさみしいですね。ガリヴァー旅行記 を読んで、新しい今のことを知ればいろいろなことに次の道が見えるかもしれません。
ガリヴァー旅行記 は自分の思っていることを確かめられますし、それより知らなかったことを知ることで対応も考えられるオススメの本です。
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